著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

「プラスチック」が動脈硬化を引き起こす? NEJMで研究報告

公開日: 更新日:

 近年、プラスチック製品の環境破壊が注目され、プラスチックの使用量を減らして環境への悪影響を減らそうという試みが広く行われています。ただ、これは自然などの環境への影響であって、自分の体には関係がないと、そう思っている方が多いと思います。プラスチックそのものが体に溜まって、健康への悪影響を起こすことは、通常はないと考えられていたからです。

 ところが……プラスチックが劣化して分解され、非常に微細なかけらのような状態になると、それが食品に混ざって胃腸から吸収されたり、空気中の微粒子となって呼吸で肺に取り込まれたり、皮膚から吸収されるという可能性が否定できません。

 こうした体に吸収されるリスクのあるプラスチックの細片のことを、その大きさにより「マイクロプラスチック」や「ナノプラスチック」と呼んでいます。今年のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンという一流の医学誌に発表された論文では、首の血管の動脈硬化部位を調査した結果が報告されています。動脈硬化で治療を受けた人の6割近くで、そこに細かい欠片となったプラスチックの成分が検出され、それが検出されなかった人と比較して、脳卒中心筋梗塞などの動脈硬化による病気の発生が多かったのです。

 これはまだ研究レベルの結果ですが、プラスチックの健康影響をわれわれはより深刻に考えるべきかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  2. 2

    ニデック永守重信会長の堪忍袋の緒が切れる? 「売上高4兆円」達成に不可欠な牧野フライスの買収が難航中

  3. 3

    巨人・田中将大の早期二軍落ちに現実味…DeNA二軍の「マー君攻略法」にさえなす術なし

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    茨城県知事の異常な県政を朝日も毎日も報じない不思議…職員13人が自殺?重大事件じゃないか!

  1. 6

    立憲民主党の凋落は自民党以上に深刻…参院選改選組が国民民主党に露骨なスリ寄り

  2. 7

    小芝風花&松坂桃李は勝ち組、清野菜名は貧乏クジ…今期ドラマ「トップコート」所属俳優の泣き笑い

  3. 8

    阿部寛「滑舌問題」はクリアできそうだが…新日曜劇場『キャスター』で国民的俳優が試される“唯一の心配事”

  4. 9

    浜田雅功の休養の裏で着々と進む松本人志との"今夏ダウンダウン完全復帰計画"…プラットフォームに本腰

  5. 10

    誰トク?広がる地方私大の公立化…見送られた千葉科学大は「加計学園」が運営撤退も大学存続