痛みで歩けず片足で自転車をこいで病院へ…俳優の河西健司さん痛風との闘い
観念して薬を飲み始めた
発作は抗生物質と痛み止めを処方され、1週間ほどで治まりました。その後、尿酸値を下げる薬を飲み続ける治療もできるそうですが、一度服薬を始めるとずっと飲み続けなければならない薬だと聞き、それはちょっと不便なのでしばらくは様子を見ようということになりました。
すると、2年おきぐらいに、左膝、次は右膝……と発作が出るようになったのです。
ズキン、ズキンと激しい痛みで眠れない。そのたびに、抗生物質と痛み止めでやり過ごしていました。
ところが、46歳のときにNHKの朝ドラ「ひまわり」の撮影で行った福島で、今度は左肘にきてしまいました。軽トラックを運転しなくてはいけないのに、上腕から手首のあたりまで腫れて痛くて動かないし、とても運転できません。でも、ロケを止めるわけにはいかない。痛み止めの注射を打って、何とか乗り切りました。
この先、仕事に支障を来したら……と思うと怖くなり、ひどくなると関節が変形したり心筋梗塞を起こしたりするとも聞き、観念して尿酸値を下げる薬を飲み始めました。それからは3カ月に1度通院し、血液検査や尿検査を受け、尿酸値を下げる飲み薬と尿などをアルカリ化する飲み薬を処方してもらっています。
薬のおかげで発作が抑えられているので、毎晩、ビールかハイボールをおいしくいただいています(笑)。
頭の隅っこに「ビールはあまりよくないんだよな」とありつつも、とくに暑い夏は欠かせません。だいぶん弱くなり、グラス3杯ぐらいです。たばこは30歳前後でやめましたが、ビールは「今日も一日無事に過ごせたな」とホッとしながら飲みたいのでやめられません。
60歳後半に最高血圧が160(㎜Hg)まで上がるようになってから降圧剤も飲んでいますが、高血圧も薬で抑えられています。
薬で抑えられず、悩ましいのは、去年3月に発症した「脊柱管狭窄症」ですね。右足のかかとからお尻、腰へと痛みが走り、しびれもあるんです。歩くのにも不自由するので、整形外科でMRIを撮ってもらったら、背骨の間の軟骨よりも右脚の大腿骨と骨盤の間の軟骨が摩耗してなくなっているので、それが原因の痛みとのことでした。
医師からは「30分歩けなくなったら人工関節を入れる外科手術をしましょう」と言われています。まだ30分は歩けるので、痛み止めを処方していただいて、1日最低30分歩く運動をして現状維持に努めています。
ただ、処方してもらった痛み止めは、自分には効かない。そのうえ、ふと気を許していると、眠り込んでしまうんですよ。困ったなと思っていたところ、85歳になる家内の母親に、ある会社の健康維持食品を飲んでCMに出演しないか、という話が舞い込んできたんです。義母も膝が痛くて。
自宅にその健康食品がたくさん送られてきたので、自分も試しに飲んでみたら、少し楽になったように思います。気休めに過ぎないかなと思いつつ、一応、それを飲み続けてしのいでいます。
(聞き手=中野裕子)
▽河西健司(かさい・けんじ) 1949年11月、長野県生まれ。中央大学文学部在学中、演劇研究会に入り芝居漬けの日々を送り、26歳のときロックミュージカル劇団「ミスタースリムカンパニー」結成。82年に「あんちゃん」(日本テレビ系)で連続ドラマ初レギュラー。代表作にNHK連続テレビ小説「かりん」「ひまわり」「さくら」や「踊る大捜査線」(フジテレビ系)シリーズなど。