最新研究「痩せ」は危ない(2)「脂肪筋」は食事改善では減少しない
「脂肪細胞の容量オーバーであふれ出た脂肪が、肝臓にたどり着き肝細胞にたまったものを脂肪肝、骨格筋にたどり着き筋細胞にたまったものを脂肪筋(骨格筋細胞内脂質)といいます。糖尿病で教育入院すると1~2週間で血糖値が低下するなど糖代謝が改善しますが、教育入院の間に痩せられるのは数キロで、肥満が解消されるわけではありません。数キロの減量でなぜ糖代謝が大幅に改善するのかわかっていなかった。しかし2000年ごろから脂肪肝、脂肪筋の測定技術が開発され、ヒトでの研究が可能となった」
2型糖尿病14人の研究では、2週間での体重減少は2%程度だったが、脂肪肝は「食事療法だけ」「食事療法と運動療法」両群とも30%近くまで減少、それに伴い肝臓の糖取り込みが増加した。
しかし脂肪筋は「食事療法だけ」では有意に変化しなかった。一方、「食事療法と運動療法」では脂肪筋が19%減少し、インスリン感受性が57%増加した。
「つまり、脂肪肝は食事療法だけでも減少させられるが、脂肪筋は食事療法だけでは減少せず、運動が必要」