荒井宏幸
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荒井宏幸クイーンズ・アイ・クリニック院長

クイーンズ・アイ・クリニック院長。医学博士・眼科専門医。医療法人社団ライト理事長。みなとみらいアイクリニック主任執刀医。防衛医科大学校非常勤講師。

多焦点レンズは保険適用外で値段が高いが「QALY」も極めて高い

公開日: 更新日:

 これは焦点深度拡張型レンズで、遠方から中間距離まで連続的にきれいに見える。多焦点レンズではありますが、ハロー現象(光の周りにリング状の反射が見える)、グレア現象(光が全体的ににじんで見える)があまり出ない。見え方の質がとても自然で良いレンズとなっているんですね。

 ただしEDOFは30センチ程度の近い距離は見えにくい。そのため、読書や非常に細かい説明書の文字などを見る際には、老眼鏡が必要となることも多いです。パソコンはよく見えますし、そのままでは見えにくいスマホも「文字を大きめに設定すれば裸眼でOK」という患者さんもいます。

 患者さんが頭を悩ませることのひとつとして、費用が挙げられるでしょうか。多焦点レンズは保険適用外で、単焦点レンズと比較して費用がかかります。費用対効果を考える上で、最近ではQALY(クオリー)という言葉が医療経済学の中で使われるようになりました。「Quality-adjusted life year」の略で、日本では質調整生存年と訳されます。クオリティー・オブ・ライフ(QOL)を数値化していろいろな治療の費用対効果を算出し、患者さんの選択肢の参考にしてもらう手法となります。

 私たち眼科医のジャンルでは、眼内レンズを用いた白内障手術のQALYは飛び抜けて高い。多焦点レンズを選択すると、これがさらに高くなる。そんな算出結果が出ています。

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