糖尿病の人が水虫を放置するとどうなる? 13人に1人が爪白癬
足白癬(水虫)を治療せずに放置すると、足に繁殖した白癬菌が爪に入り込む「爪白癬」を引き起こします。高齢者に多く日本人の7人に1人が足白癬、13人に1人が爪白癬といわれています。爪白癬は爪が白や黄色に濁ったり、分厚くなったり、爪がもろくなるのが特徴です。爪には神経が通っていないため足白癬のようなかゆみや痛みは伴いません。
進行すると爪の変形が進み、もろくなった爪がボロボロと崩れ落ちたり、あるいはネコのカギ爪のように盛り上がります。歩く際に爪が靴に当たって痛くなり、十分な踏み返し動作が行えず転倒して寝たきりにつながりやすくなります。
とりわけ糖尿病で神経障害を合併していると、足の感覚が鈍くなります。知らぬ間に症状が進行し、気付いた時には爪から細菌感染を起こして足が壊疽してるケースも少なくありません。
60代の男性は、「朝起きて足を見たら、足の親指が赤く腫れ上がっていた」と当院を受診されました。診ると爪白癬がかなり進行した状態で、カギ爪のように盛り上がった爪が皮膚に食い込み、そこから細菌が侵入して蜂窩織炎(ほうかしきえん)を起こしていました。長年、糖尿病を患っていて治療を受けていたものの、血糖コントロールがうまくいかなかったと言います。通常、皮膚に爪が食い込めば強い痛みが生じますが、神経障害により痛みを感じられず受診が遅れてしまったのです。結局、感染が爪の下にある骨にまで及んでいたため母指の切断を行いました。足を守るためにも、たかが爪の変形と放置せず、しっかりと治療を受ける必要があります。