「立って」仕事をすれば健康で長生きできる(2)「座っていることが楽だ」という考えは勘違い
近年の研究で、「座りすぎ」が体に深刻なダメージを与えることが分かってきた。
「座りすぎ問題」に関する著書もあり、この研究の第一人者である岡浩一朗教授(早稲田大学スポーツ科学学術院)は言う。
「座って仕事をするというのはただの習慣なだけですから、立って仕事をするようになれば、まったく苦痛ではなくなるんです。もちろん、腰痛や肩こりも改善します。たとえば私の研究室でも立って仕事ができる環境を導入していますが、誰も腰や肩が痛いとは言わなくなりました。最近は多くの企業がスタンディングデスクを導入したり、いろいろな取り組みをしています。ただやっぱり、多くの人が立つことに対してどこかネガティブな思いがあって、『座っていることが楽だ』と信じているんです」
特に日本では、学校での生活で「悪いことをすると廊下に立たされる」といった“風習”があったため、幼い頃から「立っていることは悪いことだ」と刷り込まれているケースが多いといえるかもしれない。
そうしたわれわれの思い込みが、立って仕事をすることを妨げる障壁になっているという側面もある。そして、そのような考えを持っているのは、会社の環境を整える裁量がある年配の人に多い、と岡教授は指摘する。