会社員時代は経理担当で几帳面な性格の78歳男性。認知症を発症した今も…
先日、SNSでたまたま見かけた医療関係者によるツイートが、非常に興味深いものでした。
元銀行員の認知症患者さんが、残業中の投稿者に「どこの数字が合わないの? 手伝うよ」。また、元看護師の認知症患者さんで、病棟が忙しすぎるような時にはナースステーションまで来て、「なんか手伝おうか?」「(自分の点滴を自分で)止めておいたよ」──。
私も似たような経験をすることがあり、投稿者に親近感を抱いたのです。
患者さんの中には、認知症の前段階といわれる軽度認知障害(MCI)や、認知症であってもごく軽症の方もいます。こういった方々は、短期の記憶は抜け落ちやすいものの、日常生活は十分に自立して送れます。
傾向としては、これまでの経験、培ってきた考え方、現役時代の生活習慣などが立ち居振る舞いに色濃く表れるように感じており、サポートする私たちはそれらを軽視せず、注意して接するようにしています。
78歳の男性患者さん。転倒して大腿骨を骨折し入院。それによって筋力が低下し、歩くこともままならなくなり、ADL(日常生活動作)が低下。通院が難しくなったことから、当院での在宅医療を開始することになった方がいます。