若いころから「ぎっくり腰」を何度も…コルセットでやり過ごしてきた
2年前、突然腰痛になったという60代の男性患者さんがいらっしゃいました。ご本人いわく「原因は寝違えたからかも」。しかしよく話を伺うと、20代のころから何度もぎっくり腰を発症。そのつど接骨院で施術を受け、時にコルセットを装着してやり過ごし、結局は整形外科に行くことはなかったそうです。
今回の症状はこれまでに比べて軽い方だということですが、それでも我々のクリニックに来られたのは、こうして長年改善がみられないことに、いい加減に業を煮やされてのことでした。
ぎっくり腰は、急性腰痛症と呼ばれるもので、はっきりした病名がつかない急性腰痛の総称です。
発症のきっかけとして一般的に知られているものに、「重い物を持ち上げた時」というのがあります。くしゃみをした時や、下に落ちたゴミや物を拾おうとした時といった日常のなにげない動作がきっかけで起きることも少なくないのですが、それらに共通しているのが「椎間板に力がかかりやすい中腰の姿勢で行われている」ということ。
ですがぎっくり腰のはっきりとした原因はいまだ解明されていません。そのため、ひょっとすると別の病気が隠れていることも考えられるため、目安として2週間以上経っても症状が回復しない場合や繰り返す場合は、他の病気が原因ではないか、整形外科を受診して確認することが大切です。内臓の病気で腰痛が起こることもあります。尿管結石発作では急激な腰痛を引き起こすこともありますし、その他の内臓の病気と腰痛の関連も少なくないといえます。