「ホスピタリティー」が回復に欠かせないのはなぜか
このため、患者さんの気分を良くするような声掛けや寄り添い方が大切で、そのタイミングがポイントになります。尿便失禁時の弄便や異食の対応も大変ですが、清潔と健康を保てるように優しさを持って、笑顔で対応します。せん妄・幻覚・錯覚により徘徊され、毎晩帰宅願望が強く、睡眠障害となる時も困ります。
特に夕暮れに不穏になる「夕暮れ症候群」は薬剤治療が可能なので、患者さんが興奮期に入らないように薬剤管理しつつ、少しおだてる声掛けや気分転換になる寄り添い歩きを行い、怒りやソワソワを和らげます。
BPSDに対しては、関わり方と環境調整、さらに薬剤治療の3つのアプローチで、迅速に問題行動を治療します。症状が改善しないと、職員が日に日に疲弊します。その上、患者さんは改善せず、ご家族からは「悪くなってるんじゃないの。どうしてくれるんだ」とクレームが入る場合もあります。これではホスピタリティーに必要な「相互満足」が成立しません。
治療が難しい時に、それを共感できないご家族はとても困ります。その疲弊期間が2週間以上続く場合は、他の専門病院での転院治療をお願いする判断が必要だと考えます。