年金だけで入所できる老人ホームはある? 公的施設を選ぶ
老親が要介護認定を受けて自宅での介護が難しくなると、施設への入居を検討されることでしょう。そこで家族の頭を悩ますのが「費用」の問題です。
厚労省が発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2022年度の厚生年金(国民年金を含む)の平均受給月額は、男女を総合すると14万3973円。男女別に見ると男性が16万3875円、女性は10万4878円と、施設入居するには決して十分な金額とは言えません。
費用を抑えて入居するには、地方自治体や社会福祉法人が運営する公的施設を選ぶ必要があります。最も人気が高いのが「特別養護老人ホーム(特養)」です。特養とは、自宅での介護が難しくなった要介護3以上の方を対象に、食事や入浴、排せつなど24時間体制で介護サービスを提供する施設です。有料老人ホームでは入居一時金といった初期費用がかかる施設が多いですが、特養ではそれがかかりません。多床室と個室があり、要介護度と収入に応じて、居住費、食費、日常生活費といった月額利用料が異なるものの、約6万~15万円が相場とされています。特養は終身利用が可能な点から入居希望者が非常に多く、特に住宅地や駅からのアクセスが良い好立地は応募が殺到しやすい。
さらに、入居は先着順ではなく、年齢や要介護度、家族状況に応じて優先度が高い方から順番が決まるので、入居までに3年かかるケースも少なくありません。