著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

前立腺肥大症には「髪の毛が増える」副作用があるタイプも

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 最後に紹介するのは「5α-還元酵素阻害薬」です。このクスリについても、AGA治療薬を取り上げた回で触れています。

 男性ホルモンであるテストステロンからジヒドロテストステロンが生成される際には、5α-還元酵素というものが関係しています。ジヒドロテストステロンは男性外生殖器の形成に必要なホルモンなのですが、前立腺の肥大にも関与しています。5α-還元酵素阻害薬はその名の通り5α-還元酵素の働きを抑制することで、テストステロンからジヒドロテストステロンがあまり産生されないようにして、前立腺が肥大しないようにするクスリです。

 もちろん前立腺を小さくする効果もあり、それによって前立腺肥大による症状を改善します。ですから、5α-還元酵素阻害薬はこれまでに紹介したα1受容体遮断薬、ホスホジエステラーゼ5阻害薬と異なり、前立腺肥大の原因そのものをターゲットにしたクスリなのです。

 5α-還元酵素阻害薬の副作用としては性欲減退や精液量減少が挙げられますが、「髪の毛が増える」というものもあります。ジヒドロテストステロンは毛髪のもとである毛母細胞の働きを低下させてしまうため、5α-還元酵素阻害薬を使用するとその影響を抑えることができるのです。髪の毛が増えることは副作用なのか効果なのかわからなくなってきますが、前立腺肥大症の治療に用いられる際にはあくまで「副作用」になります。

 いずれにしても、決められた用法用量をしっかり守って使用しましょう。

【連載】高齢者の正しいクスリとの付き合い方

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