その不調は更年期障害かもしれません(4)ホルモン補充療法は不快な症状の改善が期待できる
更年期障害の治療の中心になるのが「ホルモン補充療法(HRT)」だ。これは、女性ホルモン(エストロゲン)を体外から補い、更年期に起こる不快な症状を和らげる効果が高い。
野崎ウイメンズクリニックの野崎雅裕院長が説明する。
「HRTは少量のエストロゲンを、飲み薬、貼り薬、塗り薬のいずれかで体内に取り込み、エストロゲンの減少を緩やかにする治療法です。とりわけ発汗やホットフラッシュに効果が高く、HRTを受けた9割以上は『1カ月以内に症状の改善を実感した』と報告されています」
長期間エストロゲンを単独で投与すると、子宮内膜が増殖して「子宮体がん」を発症させるリスクが高くなる。子宮筋腫などで子宮を全摘出していない人の場合、HRTを行う際は黄体ホルモン剤(プロゲステロン)を組み合わせる必要がある。
中でもHRTで懸念されるのが「乳がん」のリスクだ。2002年に発表された米国の大規模調査の結果、5年以上のHRTの実施は乳がんのリスクを軽度上昇させると報告され、治療をためらう女性も少なくなかった。