(4)スポーツ健康科学の専門家が教える…ラクに筋肉を取り戻す「エキセントリック運動」
こうしたリスクを避けるために、金講師は「エキセントリック運動」を提案する。
「エキセントリック運動(eccentric exercise)とは、収縮している筋肉が引き伸ばされる運動を指します。その典型が重いダンベルをゆっくり下げたり、階段をゆっくり下りる運動です」
筋トレというと、ダンベルを持ち上げたり腹筋をするなど、筋肉を収縮する運動(コンセントリック運動)の方が効果的なイメージがあるが、じつはゆっくり伸ばす方が楽に効率よく筋肉を鍛えられるのだという。
65歳から84歳の男女17名を、椅子にゆっくり座ったり、つま先立ちからゆっくりかかとをおろすエキセントリック運動する群と、椅子から立ち上がったりかかとを上げてつま先立ちになるコンセントリック運動する群に分け、8週間後の筋肉の厚みや筋力などを比較した研究結果が日本人の研究者から報告されている。
8週間後に大腿部の筋肉の厚みを調べたところ、前者は22%増えたのに対して後者は7%しか増えなかった。ひざを伸ばす筋力も前者は38%増えたのに対して後者は8%だったという。2分間で何回足踏みできるかを調べるテストや椅子から30秒間で何回立ち座りができるかのテストなどでも、エキセントリック運動群の方が成績が良かったという。