一人で暮らす老いた親の「ヒートショック」を防ぐ対策法は?
「昨晩、風呂から上がって体を拭こうとしたら、意識を失って倒れたようです。額にできた傷がひどく痛むのですが……」
そう訪問看護師に訴えたのは、80歳になる女性でした。軽度認知障害と診断されてからも住み慣れた家で過ごしたいと、1人暮らしを続けています。
一段と冷え込むこの時季に、独居の認知症高齢者が気を付けたいのが「ヒートショック」です。これは気温や室温の急激な変化により血圧が乱高下して生じる健康被害で、一般的に10度以上の寒暖差で起こりやすいといわれています。
家の中で最も気を付けたい場所が「浴室」と「脱衣所」です。冷えた脱衣所で衣類を脱ぐと、寒冷刺激によって血管が収縮して血圧が上昇します。その状態で熱々の風呂に入ると、今度は血管が一気に拡張され血圧が低下し、さらに風呂から上がって脱衣所に戻るとなれば、再び血圧が急上昇しやすい。短時間に何度も血圧が上下し血管や心臓に負担がかかり、めまいや立ちくらみのほか、重度では失神、不整脈、心筋梗塞を起こして、最悪のケースでは死に至る恐れがあります。