(4)COPDがある糖尿病患者はどう治療すべきか
では、どのような薬を選ぶべきか?
例えば安く、評価が安定しているメトホルミンは2型糖尿病の第1選択薬だ。
しかし、2018年に発表された台湾の保健福祉データベースを利用した研究では、COPDに2型糖尿病が合併した状態にメトホルミン投薬を継続すると細菌性肺炎のリスクが高くなると報告されている。
一方で、2022年に報告された英国国民保健サービスデータを使った研究では、GLP-1受容体作動薬とSGLT-2阻害薬は、スルホニル尿素(SU)薬と比べ、COPD増悪による入院リスクを約30~38%低減したという。
また、GLP-1受容体作動薬は中等度増悪リスクを37%低減したが、DPP-4阻害薬は、COPD増悪リスクの明らかな低減は認められなかった。
「ただし、これらの研究結果はまだ医学の常識になっているわけではありません。私の経験上、メトホルミンをすぐに中止する必要はないと考えます。また、英国の報告はやせ形のCOPDに限定したものではありません。GLP-1受容体作動薬に抗炎症作用と高血糖抑制作用があるとはいえ、すぐにCOPDに効果ありと結論付けられません。さらに大規模で計画的な試験を複数行うことが必要です」