突然母が別人になった(13)認知症について調べ、取るべき行動を探ろうとしたが…
次に、ネット上で個人の体験談を探して読みまくった。ここでわかったことは、たとえタイプが同じであっても、認知症の症状はさまざまだということだった。また、認知症の肉親を持つ人の体験も、置かれた状況によりまた違うのだ。母の今の状況に当てはめようとしても、何がどうなるのか想像もつかなかった。
さらに、レビー小体型認知症の親を持つ人の体験談はほとんど見つからなかった。アルツハイマー型認知症が100年以上前から知られているのに対し、レビー小体型認知症は1995年に新しいタイプの認知症として提案された、比較的新しい疾患だからだろうか。
論文もあれこれ調べてみたが、私が知りたいのは、レビー小体型認知症の人やその家族の生活がどう変わってゆくかという事実や実感のほうだった。そこで「Googleアラート」を利用することにした。キーワードを登録しておくと、そのキーワードが含まれる情報がウェブ上に流れた際にメールで通知してくれる機能だ。
「認知症」「レビー小体型認知症」というキーワードを登録しながら、母が認知症になったのだという思いが、少しずつ現実味を帯びていった。 (つづく)
▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」。