空腹こそ最大の長寿法…「カロリー・リストリクション」はどうやるのか?
アカゲザルはヒトゲノムと93%同じで生活様式がヒトと似ているため、この研究データはヒトに置き換えられると考えられている。
その後もカロリー制限と長寿の研究は進み、2019年には米国のマーク・マトソン教授らの研究チームが過去の研究の検証から「毎日16~18時間の断食」「週2日、摂取量を500~700キロカロリー以下に制限」のいずれかの方法で、血圧低下や体重減の健康効果と寿命を延ばす効果が期待できるとの論文を発表し、注目を集めた。
ならば、1日の食事回数を減らして空腹を作り出す方がよさそうだが、根来医師は現在社会に定着している1日3度の食事の回数を減らすべきではないという。
「日本でも欧米でも1日3回、食事するようになったのは400年ほど前から。それまでは1日2食が続いていた、と言われています。しかし、それは健康のためではなく、飢饉などにより食料が手に入らなかったからです。実際、貴族などの支配階層が1日2食の時代でも、激しい労働をする農民らは間食を取っていたとの記録があります」
食料が乏しければ争いを生む。それを回避する知恵として、食料は仲間と分け合い、食べたいだけ食べるのを慎むことが美徳とされた。それが宗教と結びついて1日3食を我慢する禁欲思想になったと考えられる。