セレブママたちが嫌がる「都落ち」感で遠のく慶応の背中
■清宮フィーバーでも浮上せず
この一件を境に、早実初等部は大っぴらに多額の寄付を求める行為を控えるようになったが、なかなか人気は回復しなかった。ひとつの転機になりそうだったのが15年。初等部から早実に入った清宮幸太郎(現日本ハム)が高校野球夏の大会で高等部1年ながら主軸として活躍。チームをベスト4に導き、大フィーバーを起こした時だ。
「これで早実初等部の人気もV字回復すると期待したのですが……」と振り返るのは、早大の同窓会組織「稲門会」の関係者。自身は高等部から、子息も初等部から早実に入学させたというだけあって、その動向は非常に気になるという。
「高等部に上がるまで清宮君が野球をしていたのは、リトルリーグやリトルシニアですからね。目覚ましい結果を残しているものの、初等部の生徒として注目されることは一切なかったんです。甲子園での活躍時も、初等部にまで目を向けられることは、残念ながらほとんどありませんでした」
慶応幼稚舎に追いつけ追い越せどころか、なかなか浮上のきっかけを得られない早実初等部。ただ、ひとつだけ救いがあるとしたら、この稲門関係者のように、同校を支えたいと考える一定の層が存在するということだ。ワセダ愛に満ちあふれている早大OB・OGたちである。