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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

セレブママたちが嫌がる「都落ち」感で遠のく慶応の背中

公開日: 更新日:

 一方、早実初等部は23区外の国分寺駅。新宿駅から中央線特快で約20分、各駅でも約30分と、都心から決して遠いわけではないのだが、「セレブママたちにとっては都落ちした気分になってしまうのです」(前出の進路相談スタッフ)という。

■寄付金問題で父兄の厳しい目

 問題は立地だけではない。前出の早大教授が「初動の失敗」と指摘するように、最初の段階で信頼をおとしめる大きなミスを犯しているのだ。寄付金問題である。

 初年度の2002年度入試(01年11月実施)の募集要項には「1口10万円で5口以上の寄付をお願いします」と記載されていた。ところが、2次試験の面接の際、同伴の保護者全員に募集要項の金額をはるかに上回る300万円の寄付を要請したのだ。一応、任意とはいっても、合格が決まる前の提示である。父兄側は寄付金の納入が入学条件のように受け取った。

「このやり方を決めたのは、当時の早大総長で早実の理事長も兼任していた奥島孝康さん。国分寺移転や初等部開設を主導した中心人物です。初等部を設立するにあたって借り入れた25億円を、今後10年間のうちに父兄からの寄付だけで返そうというのです。一律に300万円の寄付を募るというのはあまりにも高額すぎるのでは、という声も出た。でも、奥島さんは『入学を目指す家庭の多くは“お受験”の準備のために何百万円もかけている。決して高くはない』と押し切ったんです」(前出の早大教授)

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