「十月」くぼたかずこママの短歌と日本酒がプロも趣味人も引きつける
新宿ゴールデン街のママは文学や演劇、音楽、写真からサブカルまで、さまざまな分野に通じる多才な人が少なくない。中には著書を出版したり、舞台に出演したりするプロフェッショナルもいる。そのうちの一人が、「十月」のくぼたかずこママである。
2005年7月のオープン以来、毎月発行する「十月通信」で店のイベント紹介とともに短歌を発表している歌人。「とんとん月を抱いて帰ろう」「お気に召すまま召されるままに」などの単独歌集も出版している。 こうした人物評への返しは、「歌人っていうより“歌をいじってる”ぐらいの感じよ」。照れ隠しのように軽口を言ってほほ笑む。
会社勤めをしながら2人の子どもを育てるリアルママだった。早期退職後、ゴールデン街で店を構える知人を手伝ったことが契機になった。法政大時代は「中道左派だった」こともあり、店名はロシアの十月革命にちなんだものと誤解されがちだが、実際は自身の誕生月だというエピソードもおちゃめでかわいらしい。
ごま焼酎「紅乙女」、芋焼酎「薩摩七夕」、奄美大島の黒糖焼酎「里の曙」など、他店ではなかなか見かけない酒を取りそろえている。毎月、最終土曜日に日本酒の会を催しているだけあって「さすが、酒にはこだわりがあるのだな」と思ったら、「味もいいけど瓶がきれいだから」とのこと。やっぱりおちゃめだ。