柔道・阿部一二三&詩も実践する「丁寧な暮らし」の意味に変化…背景には“悲しい現実”が
靴やカバン、服なども修理して長く使うのも丁寧な暮らしといえる。
「“ダーニング”関連本も人気ですね。“繕う”という意味で、穴の開いた靴下を繕うと聞くとビンボーくさい感じもしますが、靴下をダーニングといえば、おしゃれな響きになるでしょ?」(大手出版社関係者)
■セレブ感アピールから節約へ
穴の開いた靴下じゃモテないからとすぐに捨てるのは、丁寧じゃない。今となれば、ダーニングした方がモテるか。脚本家でライターの源祥子氏は「私も祖母のビンテージバッグを修理して使っていますし、いい傾向だとは思いますが」とこう続ける。
「『丁寧な暮らし』という言葉自体は5、6年ほど前からSNSを賑わせていて、以前は、部屋に花を飾るとか有機の食材を使うとかセレブ感をアピールみたいなところもあったんですが、最近は節約の意味合いが色濃くなってきたような……この物価高で新しいものは買いづらい。でも、我慢して節約していると思うと心が萎えていく。私自身そうですが、〈これは節約ではない。丁寧な生活なんだ〉と自分に言い聞かせることで気持ちをアゲたいのかも」
来年1~4月に値上げされる飲食料品は約4000品目に。庶民は日々の暮らしを丁寧に“ダーニング”せざるを得ないというのが現実か。