著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

西友(下)「小売業再生の請負人」大久保恒夫社長兼CEOと大株主KKRにすきま風が

公開日: 更新日:

 これで楽天とKKRの共同経営体制はあっけなく崩壊。KKRが食品スーパーを、楽天がネットスーパーを引き受けることになった。

 西友が北海道、九州の店舗(=不動産)を売ったのはKKRの出口戦略の一環である。大久保氏は、東洋経済オンラインのインタビュー(5月2日付)で、「これは株主(KKR)が判断したこと。私は反対したわけではないが、賛成もしていない」と語っている。

 大久保氏は企業の利益成長には規模(小売業なら店舗数)が重要だと考えているからだ。大久保氏と投資ファンド、KKRが描く西友の方向性の違いが浮き彫りになった。

 KKRの経営体制になって、西友グループは決算公告を開示するようになった。食品スーパー西友(単体)の23年12月期の売上高は前期比5.8%減の6647億円。営業利益は24.8%増の259億円。22年同期の208億円より利益は増えた。しかし、KKRから見れば、まったく不満足な数字である。利益はほとんど伸びていない。

 持ち株会社西友HDの純損益は、赤字幅は縮小したとはいえ8億円の赤字。水面下の経営なのだ。

 KKRは近い将来、西友をウォルマートに買い取ってもらうか、他の流通企業に売却することになるのだろう。流通に限ったことではない。高値で引き取ってくれるなら、どこでもいいのだ。

 いずれにせよ、大久保氏は西友を去ることになるだろう。

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