“楽勝”イメージ一変 夏の甲子園に「北信越旋風」起こる理由
■野球留学生を受け入れて切磋琢磨
たとえば星稜では冬休み中、神社の100段ある階段を3時間もひたすら走ったり、室内で6~7時間かけて2000本のティー打撃をやらせるようになった。林監督は「決して面白い練習ではないが、単純なことを毎日、淡々とやることが大事。それによって、精神力、体力、技術がいっそう身に付くようになった」と話す。単純で面白くないように見える地味な練習も、指導者と選手の意識が変わったわけだから、成果も変わってくる。
敦賀気比のように野球留学生を受け入れる私学が増えたことも、北信越のレベルアップにつながった。今回の出場校の中でも敦賀気比を筆頭に日本文理、佐久長聖などは他府県からの野球留学生を受け入れている。そういった学校が甲子園で上位に進出すれば、公立校や他の私学も負けじと野球部を強化する。強豪校に勝たなければ甲子園には出られないからだ。そうやって互いに切磋琢磨することが、結果として地区のレベルを押し上げた。
「5年前、ウチが準優勝したことで『文理があそこまでやるなら……』というムードがあると聞きますが、(そうやって切磋琢磨して地区のレベルが上がるの)だとすればうれしいことですね」とは、日本文理の大井監督だ。
北信越勢の躍進には理由がある。たまたまクジ運に恵まれて勝っているわけではないのだ。