工藤SB、原巨人…「大将の権威」なき監督がプロ野球を壊す
今年のプロ野球の話題を独占しているのは、8年ぶりに広島に復帰した黒田博樹(40)だ。メジャーから20億円ともいわれるオファーが届きながら、ラブコールを受けていた古巣に年俸4億円で戻った。ファンやマスコミはそれを「男気ある決断」と持ち上げるが、黒田は引退も考えていたというから、メジャーで20億円に見合うだけの活躍ができるか自信がなかったのかもしれない。
その真偽はともかく、黒田は広島時代(97~07年)もメジャー時代(08~14年)も、痛いの痒いの言わず黙々と投げてきた。打線の援護がなくても、バックがエラーしても、ふてくされた態度は見せたことがない。自分に与えられた仕事を精いっぱいこなす“職人”のにおいを残す選手だ。
今の球界を見渡すと、黒田のような選手はめっきり減った。昔は投手も野手も技術をきわめようと、それこそ「奇人」「変人」と呼ばれるような選手がたくさんいた。
毎日、大毎、ロッテなどで活躍した榎本喜八氏は「安打製造機」と呼ばれたが、スイングをチェックする鏡の前で瞑想したり、ベンチの上で座禅を組んで周囲を驚かせた。ロッテ時代に榎本氏から打撃指導を受けたという評論家の山崎裕之氏はこう言う。