就任1年で甲子園に 横浜・平田監督に聞く名門での苦労
「渡辺監督、小倉コーチの教えは私の土台になっていますし、また岩井監督からは選手を大人扱いする接し方に感銘を受けました。日本を代表する指導者から学んだことを生かして自分の野球哲学をつくっていきたい。渡辺監督、小倉コーチを意識している間は追い抜けませんし、岩井監督のマネをしている間は『色』は出てこないと思っています」
――神奈川予選では本塁打した選手をベンチで抱擁してました。
「今は真面目な子どもたちが多いと思います。緊張感やプレッシャーから解放した状態で、萎縮せずにプレーさせることがベンチとしての役割だと考えています。横浜の看板を背負って、大観衆の中で敵と戦うことだけでも大変なのに、ベンチの顔色をうかがいながらとなると、二重苦、三重苦になってしまう。勝ち負けはこちらに委ねてもらって、彼らには『失敗を恐れず、思い切りやってこい』と言ってます」
――今の子どもたちの気質に合った指導を心掛けていると。
「能力の高低はあるにせよ、持っている潜在能力は最大限に引き出したい。そのためにも基本の徹底に加え、自らの意思で考え動くという主体性、自主性を養うことに重きを置いています。この考え方はトーナメントで勝つことと相反すると考える人もいるでしょうが、選手を大きく伸ばそうとすることと勝つことは結びつくと思う。もちろん厳しく接する時もありますが、ガミガミと頭ごなしに選手の尻を叩くのではなく、今の選手は楽しさもありながら成長を実感し、やればやった分だけ自分に跳ね返ってくるという充実感を味わってほしい。もっとうまくなりたいと思うようなプラスのサイクルにもっていきたいですね」