巨人の闇に迫った記者語る“原氏1億円恐喝事件”取材秘話
――期間は?
「最終的な詰めの作業も含めると約1カ月半を掛けています。毎日、どこで誰に何を聞くのかを各自が考えて当たりにいくので、当然うまくいかないこともありますが、足を棒にして取材を続け、目撃者を見つけたとなれば、取材班の士気も上がります。ただ、恐喝している側に暴力団関係者がいるということで『文春が動いているなら、もう一回巨人に行けば金になるんじゃないか』というように、新たな恐喝を誘発しないか気を使いました。最後は一気に人を増やして同時に当てていくという作業でした。2011年10月に暴排条例ができて、暴力団排除の機運が出てきたのも大きかった。1億円なんて大金をどうやって捻出したのか。前提を考えてつぶしていったんですね。例えば球団が立て替えた可能性はなかったのかとか。反社に対して金が渡るのを分かっていたのか否か。そこもポイントになるだろうと考えていました。取材先で朝日新聞が動いている痕跡があって、早くウラを取らないとと、ネジを巻き直し、何とか記事化にこぎ着けたのです」
▽にしざき・のぶひこ 1970年岡山県生まれ。大学卒業後、「週刊ポスト」を経て、2006年から「週刊文春」記者。12年に「巨人・原監督1億円恐喝事件」をスクープ。清原和博元選手の薬物使用疑惑や巨人の現役選手たちの野球賭博事件も取材。下村博文元文科相の一連の政治資金疑惑の追及記事なども手がけた。