東京五輪マラソン「5時半スタート」案に陸連顧問が猛反論
「深夜から早朝の30分というのは、昼間の1時間以上に相当するといっても過言ではない。それと感覚の問題もある。マラソンの練習で朝6時に起きることはあっても、5時半というケースは少ないからな。途中棄権に関しては、どんな天候でも出てくる。人数の問題だが、熱中症でゴールしてから命を落とすことがあってはならない。危ないと思ったら審判がストップをかける」
――「昼間は暑いからマラソンは夜間にやればいい」という意見もあります。
「日が沈めば気温は下がるが、夜のマラソンは速く走っているような錯覚が起きやすく、ペースが狂ってしまう。夜間は治安の問題もある。箱根駅伝やアテネ五輪のマラソンでは、選手が暴漢に走行妨害されたこともある。夜間では安全対策が難しい。暑さ対策としては給水所を増やす。五輪は通常約5キロごとに給水所があるが、5キロ以降は1.5キロごとに2カ所増やす。5キロ、6.5キロ、8キロ、10キロ、11.5キロ、13キロ、15キロ、16.5キロ……全22カ所だ。これだけ給水所があれば選手は安心する。その分、補助要員は増えるけどな。東京五輪では役員は新国立(競技場)が宿泊場所になるんじゃないか。補助要員の宿泊場所は確保しているのだろうか。最後にもうひとつ。五輪代表を決める来年9月15日の『グランドチャンピオンシップ』は、本番と同じ時間にスタートすること。運営スタッフの予行演習にもなり、課題が見つかれば本番までに解決できる」
(聞き手=塙雄一・日刊ゲンダイ)