秋場所Vの正代 懸念される「腰高」は横綱昇進の大きな武器
「正代は両腕を脇につけ、胸からぶち当たる立ち合いです。脇が締まっているので、相手は差しにくい。正代は腕を潜らせるような形で下から差す。上半身が無防備なので胸を押したり突いたりすればいいじゃないかと思う向きもあるだろうが、それでは正代の餌食になるだけ。体が非常に柔軟なので、上体がのけぞっても下半身はきちんと相手と正対している。千秋楽の翔猿戦で土俵際で見せた粘りがまさにそれです。下手に攻めると自分の脇がガラ空きになり、逆に正代に差されてしまう」
コロナ禍による稽古量減を補うべく筋力アップに励み、現在は170キロ。初場所から5キロ増量し、パワーと圧力も増した。
「もし、他の力士が正代のマネをしたら、すぐに腰を痛めますよ。その意味では正代の立ち合いは唯一無二の型といってもいい。足腰のケガさえなければ、さらに上も目指せる。それだけに下半身のケガが怖い。『腰高を直せ』と言う八角理事長や尾車親方は、むしろ将来のことを心配して言ったのかもしれない」(前出のOB)
柳の枝に雪折れなし、ということわざもある。力強さと柔軟さを武器に横綱まで駆け上がる可能性もあるというのだ。