阪神はオフも大惨敗…補強第1弾が巨人から“おこぼれ”頂戴
球団、親会社が収入減
この補強のウラには、阪神のフトコロ事情が影響しているとの話がある。球界関係者が言う。
「このオフ、藤川、福留、能見、ボーア、ガルシアと5人の高給取りが退団、年俸4億円の糸井も大減俸が確実で、10億円規模のコストカットを断行する。セ界屈指の金満球団も、コロナ禍で球団の収入は大幅減。親会社も電鉄、興行部門の減収により、21年3月期の最終赤字の見通しが360億円に上るため、緊縮財政を強いられているといわれています」
シーズン終了直後、スポーツ各紙は阪神が国内FA権を取得した中日の大野雄大(32)の獲得に乗り出すと報道した。大野雄はしかし、その時点で大きく残留に傾いていた。阪神周辺では「補強に動いていますよ、とのアピール感が否めない」との声があった。
「守護神のスアレスがメジャー移籍する可能性がある上に、来季もコロナ特例で外国人選手の一軍登録が5人で継続される。矢野監督は外国人補強を求めていますが、今季、韓国リーグで本塁打と打点の2冠を獲得したロハス・ジュニア(30)は、メジャーとの争奪戦になっていて、獲得できるかどうかは不透明。そこそこの年俸の助っ人や、トレード、戦力外選手の補強にとどまりそうな気配です」(前出の球界関係者)
■過去3年は巨人の47勝26敗1分け
阪神は近年、FAやメジャー帰りの選手をかき集める一方、その反動で若手が育たず、ベテランと助っ人頼みのメンバー構成。これが2005年以降、一度もリーグ優勝ができない一因になっていた。
補強を封印し、育成重視に舵を切るというならまだしも、ない袖は振れないから、アリバイ作りのような補強で済ませて良しと本気で考えているなら、話は別である。
「ドラフトで獲得した佐藤(近大)ら新人の補強と現有戦力の底上げだけで、リーグを2連覇した巨人に対抗できるほど甘くない」とは、前出の阪神OB。
「阪神は18年以降、3年連続でチーム失策数が12球団ワースト。走塁や犠打などの小技も含めて草野球レベルといっていい。巨人は、矢野監督の采配や選手起用も含めて、基本の『キ』すら欠けている阪神を見下している。過去3年の対戦成績は47勝26敗1分け。12年以降、シーズン勝ち越しを決めている状況を見ても明らかです。しかし、阪神はコーチの大幅なテコ入れをやらない。大金をかけなくともできることすら、やろうとしていない。一方の巨人は、菅野のメジャー移籍に備え、DeNAの井納と梶谷の獲得を目指し、外国人補強にも余念がない。この補強方針の賛否はさておき、その差は開く一方です」
今回の山本のトレードは、その理由がどうであれ、分が悪い阪神が巨人から選手を無心したことに他ならない。これでは、ますます巨人から見下されかねない。阪神恐るるに足らずとの、原監督の高笑いが聞こえてくるようだ。