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西村徳文野球解説者

1960年1月9日、宮崎県生まれ。右投げ両打ち。福島高(宮崎)、国鉄鹿児島鉄道管理局を経て、81年ドラフト5位でロッテ入団。プロ通算16年で首位打者1回、盗塁王4回。二塁と外野でそれぞれベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞。97年現役引退後、ロッテでヘッドコーチなどを歴任し2010年監督就任。1年目にリーグ3位から日本一を達成した。16年からオリックスでヘッドコーチ、19年から監督を務め、昨季限りで退団。

気持ちの優しい伊良部秀輝が起用法についてコーチと口論

公開日: 更新日:

■メジャー移籍直前の異変

 しかし、97年にヤンキースへ移籍する直前あたりから、伊良部の様子がおかしいなと感じ始めた。

「どういうことなんですか!」

 伊良部が先発した試合だった。試合中にロッカールームへ着替えに行ったとき、その入り口付近で降板した直後の伊良部がコーチと口論していた。どうやら、起用法について納得がいかなかったようだった。

 それまで、私はそんなシーンを見たことがなかった。気持ちが優しい半面、繊細なところがあっただけに、何かトラブルを抱えているのではないかと心配したほどだ。すると、同年オフには球団とスッタモンダした末に、ヤンキースへと移籍した。

 伊良部はかねて、少しでも早いうちにメジャーへ挑戦したかったと聞いた。移籍前には伊良部と球団との契約について耳にしたこともあった。球団は前もって前年オフに、米国移籍を認めると伝えていたようだったが……。

 私がロッテ監督時代の2011年、突然の訃報にショックを受けた。報道陣向けには、「気持ちの優しい選手だった。あれだけの投手がいながら(当時は)チーム状態が良くなかった。一緒に優勝したかったですね」とコメントした。

 私はその前年(10年)に日本一を達成し、伊良部はヤンキース時代、阪神時代に優勝を経験していた。10年近くチームメートとして戦ってきただけに、ロッテのユニホームで一緒に祝杯を挙げたかった。=つづく

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