侍J投手陣は各球団エース級を集めれば勝てるわけではない
外から見ていて、それは違うだろう、と思っていた私は、2017年WBCで侍ジャパンの投手コーチに指名されると、代表を率いる小久保裕紀監督(現ソフトバンクヘッドコーチ)にこんな考えを伝えた。
「チームのエースを張る投手は、当たり前だが、力はある。でも、それをリリーフでも発揮できるとは限りません。先発には先発の、中継ぎには中継ぎの、もちろん抑えには抑えのプライドがあって、適性がある。今回の侍ジャパンにはリリーフのスペシャリストを多く招集しましょう」
WBCの日本代表は総勢28人。そのうち13人の枠を投手陣にもらって楽天の松井裕樹、ヤクルトの秋吉亮、日本ハムの宮西尚生、増井浩俊、中日の岡田俊哉、西武の牧田和久、オリックスの平野佳寿とリリーフ投手を集めた。結果、優勝には届かなかったものの、2大会連続のベスト4入り。それぞれの持ち場で力を発揮してくれた。
球界では長く、リリーフは先発より下に見られてきた。抑え投手の地位が向上した今も、中継ぎは先発ローテーション争いに敗れた投手がやるものだというイメージが残っている。だが、時代は変わった。もともとリリーフの重要性を唱えてきた私からすれば、「先発投手の代わりはいくらでもいる。抑えの代わりはいない」と言っていいくらいで、中継ぎも同様に大切なポジションだ。
メンバーの最終発表を興味津々で待っている。