「鬼の持丸」と言われた私がなぜ変わったか…プロ野球OBからの一言にハッとした
私の周囲には日刊ゲンダイの愛読者が少なくないようです。
4月中旬のある日のこと。野球部のグラウンド付近を散歩していると、工場の前で捨てられたサボテンを見つけました。今にも朽ち果てそうな姿で、あまりにふびんだった。工場内の人に了解を得て持ち帰り、グラウンドで育てることにしたんです。そのことを記事にした日刊ゲンダイを読んだ人たちから、たくさんの声を頂きました。サボテンは土を替えて植え直したら見事に復活してくれて、今は青々としています。
サボテンのことで、かつての教え子からこんなことをボヤかれました。
「当時もそんな優しい気持ちを持ってくれていたら、オレはもっと和やかに野球できたのになぁ」
私には「鬼の持丸」と呼ばれた時期があります。軍隊並みの厳しさを求め、選手に手を上げることもありました。本当に恥ずかしいし、心から申し訳ないことをしていたと反省するばかりです。
時代を言い訳にするつもりはありません。当時の私は「高校野球は監督がすべて」という“迷信”に取りつかれていました。だから、「自分が勝たせてやる。勝たせないといけない」と思い込んでいた。
周りからも「甲子園に行けるかどうかはおまえ次第」と言われてきた。勝敗の責任はすべて自分のせい。勝てるチームをつくるには私生活でも厳しく接し、過酷な練習をさせることこそが唯一の道だと妄信していたのです。