大谷翔平の人生観を変えたWBCの反響 周辺から漏れてきた「打席に立ち続けたい」真相
パフォーマンスを上げることが面白くて仕方がない
食い物ひとつとってもそう。かのイチローも松井秀喜も、食い物には強いこだわりがあった。うまいものを食べたいという欲は現役時代からハンパじゃなかった。けれども、大谷は違う。おいしいものを食べたいという欲はあっても、トレーニングのプランを犠牲にしてまで食べようとは思わない。「そこまでして好きなものを食べたいなとも思いませんし、そういう感じで食事はしていません」と、かつて日刊ゲンダイのインタビューで答えている。大谷の中で食事は、体づくりのための手段なのだ。WBCではパスタに塩をかけて食べるといって、他の日本代表を仰天させた。
遠征に出掛けても街を出歩くことはない。ニューヨークでも球場とホテルの往復だけ。外に出たことがないと公言している。出歩く時間があればトレーニングや睡眠に充てたいのだ。
さまざまな欲を自制しているわけではない。自らのパフォーマンスを上げることが面白くて仕方がないのだ。同僚との付き合いも食事までで、酒はほとんどやらない。そうやって生活のほとんどすべてを野球に注ぎ、投手としても打者としても自らの能力を高めることに集中していた29歳が、初めて外からの視線を意識した。というかWBCで日本を優勝に導いたときの絶大な反響は、嫌でも本人を刺激したのではないか。その結果、ファンのためにも、これまで以上に試合に出続ける必要性を痛感したに違いない。
もちろん、野球をすることが心底好きなのだろうし、日本人初のメジャーでの本塁打王のタイトルもかかっている。しかし、大谷が試合に出続けようとする理由はそれだけではなさそうだ。