IWGPシリーズ最新刊を上梓した石田衣良氏に聞く

公開日: 更新日:

「それぞれのキャラが定着して、青春小説みたいな部分が残っているので、懐かしい友達に会いにいくような感覚になれるんでしょうね。他の小説を書くときの3~4割は楽に進むし、僕自身も書くときに楽しんでいます」

 定番のキャラに加え、IWGPのもうひとつの魅力は現代社会の問題点を刹那的に切り取るテーマ設定でもある。今作では問題視されている危険ドラッグやヘイトスピーチを俎上に載せている。

「その時代の先端的な問題をシャープに切り取って、何でも放り込める器ですからね、この小説は。それが古くさくならないのは、今の日本はいろいろな社会問題が解決しないからでしょう。90年代後半からずっとだらだら下り坂である日本の『解決しない感』が小説としては助かっているんですよ。これが今の中国みたいに、問題はあるけど右肩上がりで豊かになっていく社会だったら、古くさくなってしまうでしょうね」

 誰もが肌で感じている日本社会の停滞感。これを直球で描く小説は少なくなったともいう。

「時代小説の舞台を替えただけのパクリ小説がなぜか大ヒットしたでしょ。今は『お年寄りと子供を守る!』と自分に酔っている小説がウケる時代だよね。信用ならないよね、ああいうのは(笑い)。それを求める空気もホント、不思議ですよね」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭