冬の京都の路地を歩こう!編
1編目の「深草稲荷御前町」は、喫茶店を淡々と営むマスター、トオルが主人公。彼の元に中学時代の同級生たちがやってくる。
皆、恵まれない養育環境と、貧困をもとに世間から見下された経験を持つ。そんな経験は克服できるのか、あるいは克服しなければならないのかがテーマか。
トオルの友人が拘置所から、「幸福と不幸の絶対量は同じ」と書いてよこした手紙など、どきりとするフレーズが詰まっている。
(新潮社 1800円+税)