「猫の傀儡」西條奈加著
江戸の猫町で暮らす野良猫のミスジは、ある日長老猫から、傀儡師を仰せつかる。傀儡師の役目とは、町内の猫にふりかかった面倒事を人を操って働かせ、解決すること。ミスジが傀儡する人間は、おっとり長屋の売れない狂言作者の阿次郎と決まった。
早速、3丁目のキジトラ猫キジから、花盗っ人の疑いを晴らしてくれとの相談が持ち込まれる。銅物屋の隠居が大切に育てた100両もするという変わり種朝顔の鉢が割られるという事件が起き、たまたま通りかかったため、濡れ衣を着せられているというのだ。
ミスジは阿次郎を連れ出して銅物屋へと上がり込み、変わり種朝顔には孫娘の縁談話が絡んでいることを知る。(表題作)
傀儡師ミスジを主人公に猫視点で描く傑作時代猫ミステリー。全7話を収録。
(光文社 1400円+税)