心地よい眠りに誘う最新ハウツー本特集
「眠りの新常識」内山真著
大事な会議中には睡魔に襲われるのに夜は目が冴えてなかなか眠れない、疲れて寝たのになぜか夜中に目が覚めるなどなど、うまく眠れない人は結構多い。今回は、ぐっすり眠りたいと望む、アナタのための睡眠本5冊をご紹介!
長年不眠に悩む患者さんと向き合ってきた医師による、快眠のためのアドバイス本。男女ともに、年齢により睡眠の形が変化することなどを踏まえて、不眠の悩みに対応してくれる。
たとえば、以前は11時に就寝し5時半に起きていたが、50歳を過ぎた頃から夜8時には眠くなり朝3時に起きるようになってしまったという男性に対しては、体内時計が早く進みすぎてしまうために起こった現象だと説明し、寝つく時間を遅くするための処方として夕方、日が沈んでからナイター球場と同じくらいの明るさの光を浴びる方法や、朝にサングラスをかけて目に入る光の量を制限する方法を紹介。
不眠で受診する際には、不眠のパターンや頻度、きっかけ、不眠のせいで日中困ることがあるかどうかなどをメモしておくといいなど、具体的なアドバイスが役立ちそうだ。(KADOKAWA 1400円+税)
「ベッドにいてはいけない」土井貴仁著
寝つくまでに3~4時間という極度の不眠に悩まされた中学・高校時代を過ごした著者。大学受験当日には試験中に居眠りをする大失敗をし、大学卒業後に入社した会社では、たった3カ月で不眠が悪化し休職を経験。もう、普通に働くこともできないのか、と絶望しかけた著者を救ったのは、認知行動療法による不眠治療だった。睡眠専門のクリニックで治療を受け、20年来の不眠からやっと卒業できた経緯を、著者は詳細につづっている。
特に目からうろこなのは、眠れないときはベッドから出るという方法。眠ること以外にベッドを使わないことで、ベッド=脳が覚醒してしまう場所という悪循環を断つというのだ。巻末には、不眠の認知行動療法を受けられる医療機関も紹介されている。今すぐどうにかしたい人には必読の書だ。(弘文堂 1500円+税)
「究極の睡眠術」ニック・リトルヘイルズ著、鹿田昌美訳
人が自分の能力を存分に発揮するためには、心身の疲れをしっかり取り除き回復させるための睡眠こそが重要だ。本書は、スポーツ選手の睡眠指導の分野で実績を持つ著者が、その人本来のパフォーマンスを発揮するための睡眠研究の成果をまとめたもの。睡眠に最適な温度、しっかり眠るための昼間の過ごし方、枕やマットレスの選び方など、良い睡眠のためのさまざまな事柄を詳細に解説する。
オフィス仕事をしている人はランチを自分の机で食べるよりも、外に出掛けた方がいいという。というのも、昼間に一度も太陽光を浴びないと睡眠に悪影響を与えるからだ。ランチ後に銀行や郵便局に行くなど、外出がらみの予定をからませるのもいいらしい。どんな生活習慣が良質の睡眠のために必要なのか、本書を片手に見直してみたい。(ダイヤモンド社 1500円+税)
「眠れなくても、まぁいいか」クスドフトシ著
眠りたいのに眠れない夜にぜひ手に取ってみたいのが本書。快眠セラピストの指導のもとに制作された睡眠導入書なので、「眠ってはいけない場所で音読することはやめてください」という注意書きつきだ。
夜の動物園を巡回する主人公が、次第に眠りのコツを会得していくストーリー。笑顔のアヒル、遊具でゆれるパンダ、耳をひっぱるウサギ、脱力したナマケモノ、オレンジの香りを勧めるゾウ、よだれをたらすラクダ、口を大きくあけるライオン、ゆっくり呼吸するカメ、眠れなくてもいいかとつぶやくキリンに遭遇するので、難しいことは考えず物語の世界を楽しむのが良さそう。朗読音源も無料でダウンロードできるので、読むのではなく音読を聞くとさらに効果は高まる。部屋の明かりを落として、さっそく今夜から試してほしい。(飛鳥新社 1000円+税)
「睡眠負債」NHKスペシャル取材班著
睡眠負債という言葉をご存じだろうか。日々の寝不足が積み重なり、いつの間にか命にもかかわる大きな負担を抱えてしまう状態を指す。昨年6月に放送されたテレビ番組「NHKスペシャル・睡眠負債が危ない~“ちょっと寝不足”が命を縮める」で取り上げられ、大きな反響を呼んだ。
たとえば、睡眠不足で脳が集中力を失うと、「マイクロスリープ(瞬間的居眠り)」が発生するため、思わぬ事故などの原因になりかねない。さらに、睡眠不足になると、脳にたまった老廃物を除去しきれないため、認知症のリスクが増加するだけでなく、男性は前立腺がんのリスクが1・38倍に、女性は乳がんのリスクが1・67倍になることも分かっている。本書を読めば、睡眠不足から今すぐ脱出したくなること必至だ。(朝日新聞出版 720円+税)