「『働き方改革』の嘘」久原穏著
安倍政権が進める働き方改革に関する言説には、随所に「ポスト真実」(世論を形成する際に、客観的な事実よりも、感情や個人的信条によりアピールする方がより影響力を持つ状況を示す言葉)が紛れ込んでいると著者は指摘する。一見すると、「長時間労働の是正」や「同一労働同一賃金の導入」など働く人にメリットがあるように見える。
しかし、その内容は不十分な上に、長時間労働是正とはベクトルが逆の高度プロフェッショナル制度の創設や裁量労働制の対象拡大、雇用流動化への布石がちりばめられており、その実態は働き方改革とは名ばかりで働かせる側の論理で作られた財界主導の「働かせ方改革」だと批判。政権の思惑や策謀を明らかにしながら働き方改革の本質とその危うさを指弾する。
(集英社 840円+税)