「おもいでの味 よりみち酒場灯火亭」石川渓月著
店主のユウの人柄と料理に魅せられ、居酒屋「灯火亭」で働き始めた亜海は、いつも料理や酒には上の空で、ユウの一挙手一投足を見つめる常連客の坂本が気になる。坂本の素性は分からないが、ユウによると常連客が同じ町の紅茶専門店で彼を見かけたと言っていたらしい。
そんなある日、亜海が以前勤務していた会社の同僚で元恋人の駿と後輩の悠美が店に客として現れた。帰り際、亜海は悠美から来春、駿と結婚すると教えられる。複雑な気持ちを抱えたまま帰宅すると、アパートの前で故郷の奄美にいるはずの母が待っていた。連絡もなく会社を辞めたことを知り上京したらしい。亜海は事情を話すが分かってもらえない。(「夢の味」)
小さな居酒屋を舞台にした連作集第2弾。
(光文社 680円+税)