「悪母」春口裕子著
奈江が3歳になる娘・真央と幼稚園の下見にでかけようとしたところ、宅配便が届いた。差出人も受取人も奈江の名前になっているが覚えがない。悪臭を放つ荷物を開けてみると、使用済みの大人の紙パンツが詰め込まれていた。言いようのない不安を抱きながら、ママ友のリーダー・佐和子らと合流して、幼稚園を見学中、奈江と佐和子だけが園長室に呼ばれる。
園長によると、奈江らがいじめで、あるママ友一家を破滅に追い込んだという告発の匿名メールが届いたという。奈江の脳裏に広美の顔が浮かぶ。広美は、2年前、佐和子らと共に地域の子育てイベントで知り合ったママ友のひとりだった。
本音と建前の間で揺れ動くママ友付き合いの闇を描く連作集。
(実業之日本社 685円+税)