「グリム、イソップ、日本昔話 人生に効く寓話」池上彰、佐藤優著
「グリム、イソップ、日本昔話 人生に効く寓話」池上彰、佐藤優著
新たな視点で童話や昔話を読み解く対談集。
イソップ寓話の「すっぱいぶどう」では、空腹の狐がぶどう畑で何度試みても果実に手が届かず、「どうせこのぶどうはすっぱくてまずいに違いない。絶対食べてやるもんか」と捨てゼリフを残して去るというあらすじ。
約8割が第1志望校に入れない現代の「お受験」を引き合いに、ぶどうを取るために無理なジャンプを繰り返しているとケガ人続出の状況になると指摘。あの狐の捨てゼリフは、心の平穏を取り戻そうとする防衛機制であり、その自己正当化、合理化をポジティブな思考だと解釈すればいいと説く。
ほか、「兎と亀」や「蜘蛛の糸」などを取り上げ、弱肉強食の新自由主義の世の中をどう生きていけばいいのか古典に学ぶ。
(中央公論新社 968円)