「マリーナ」カルロス・ルイス・サフォン著 木村裕美訳
「マリーナ」カルロス・ルイス・サフォン著 木村裕美訳
1979年9月のスペイン・バルセロナ。いつものように夕食前に寄宿舎を抜け出し散歩をしていたオスカルは廃虚のような屋敷に迷い込み、そこで暮らす少女マリーナと出会う。
日曜日、オスカルは彼女に誘われ墓地を見渡す高台にいた。やがてフードで顔を隠した貴婦人がある墓に花を手向ける。墓にはチョウの刻印があるだけで誰が眠っているのかは分からない。マリーナによると貴婦人は毎月最後の日曜日、同じ時間に現れるという。
2人が尾行すると、路地に入ったまま女性は姿を消す。路地は行き止まりで、貴婦人が入ったと思われる空き家の温室に足を踏み入れると、空中に幾体もの操り人形が吊り下げられており、その人形にはあの墓と同じチョウの印が書き込まれていた。
スペインの巨匠による幻想と怪奇に満ちた長編。
(集英社 1100円)