春画鑑賞がもっと楽しくなる本特集
「江戸艶本大事典」林美一著
艶本・春画研究の第一人者であり、収集家としても高名な著者が記した春画事典。約1000点の作品を五十音順にまとめ、絵師や作者名、刊行時期などのデータを掲載。春画上級者に薦めたい永久保存版だ。
禁制と弾圧を受け続けた春画だからこそ、作者不明などの謎も多いが、著者自らの推理と見解を披露。構図の良し悪し、筆力の差などで、真の作者を探る見識の深さに驚かされる。
春画を巡る壮大なミステリーをひもとく手引書ともなっている。掲載されている図版はモノクロだが、その点数の多さは他の追随を許さない。まさに大事典の名にふさわしい、満足の一冊。(河出書房新社 1万3000円+税)