春画鑑賞がもっと楽しくなる本特集
「春画を旅する」山本ゆかり著
春画の魅力、面白さ、楽しさを13の見どころ(章)で紹介する入門書。8章「小さくなってこっそり覗(のぞ)く」では、鈴木春信「風流艶色真似ゑもん」にスポットを当てる。
主人公の浮世之介が仙女からもらった団子を食べたら不思議なパワーを得て、豆のように小さくなり、「まねへもん」と称し、旅先のあちこちで男女の色事を見聞する色道修行の旅の様子を描いた24枚の春画。第3図は、ご隠居さんの老婦の背中に若いお嫁さんがおきゅうを据えている場面だが、その嫁さんに、その家の息子と思われる男が後ろからじゃれ掛けているのを「まねへもん」はばっちり目撃しているが、老婦はまったく気づかぬ様子なのがなんともおかしい。「一寸法師」のように小さくなり、こっそり覗くのは、永遠のファンタジーなのだ。
他にも春画に見る「江戸時代の男前」、春画でたどる「口吸い(キス)の変遷」も面白い。(柏書房 1800円+税)