<不快指数MAX>のレビューも 「野火」が伝える戦争のリアル
<観客に希望なんか与えなくていい! 殺気と絶望しかない世界!>
<ほぼ不快感MAX これが狙いなの?>
そんなレビューが並んでいるのは、大岡昇平の小説を「鉄男」で知られる塚本晋也監督(写真)が映画化した「野火」。
レイテ島の原野を飢餓状態でさまよう兵士が、軍に見放され、同士打ちを繰り広げる戦争のリアル。兵士の屍(しかばね)の腹からウジがあふれ出るシーンなど、「永遠の0」といった昨今の邦画とは明らかに一線を画す内容が話題なのだ。
映画監督の犬童一心は東京新聞のコラムでこう書いている。
「戦争映画の役割は大きく二つある。戦争による喪失を実感とともに情緒に訴える。もう一つは、戦場という理不尽な場所の追体験。その無慈悲な暴力、非人間性をシズル感を伴って伝える。『野火』はその二つ目に力を入れる」
あの敗戦から70年、松竹の大作「日本のいちばん長い日」などが公開されるが、今求められているのは「野火」かも知れない。