9.11遭遇を取材 ギギ監督が語る絶体絶命からのサバイバル
もうひとつは、ビジネスマンの話。彼はあの日、ニューヨークで大事な会議があり、出張先のボストンから飛行機で向かうべきところ、寝坊して、離陸時間に間に合わなかったんです。乗せてくれるよう交渉したものの、搭乗時間は締め切られ、受け入れられなかった。頭を抱えた彼が見たのが、自分が乗っているはずの航空機がタワーに突入し爆発炎上するテレビの映像。突っ込んだのは、会議が行われる予定の会議室のある階でした」
――それらから引き出せる生き残る教訓、術はありますか?
「エレベーターに閉じ込められたり、がれきに押し潰されても、生き残った人のすべてが生き抜く、助かると信じていました。ビルが倒壊するまでが余命で、残り90分としても、最後まで諦めない。それが人間なのでしょう。ではその先、生き残るタイプというのがあるのかどうか。それがビジネスマンとして、たとえば行動が厳格で、常に上司の指示に従い、それをこなすタイプと、そうじゃないタイプがいたとする。危機一髪の非常事態の場合に限り、2番目のタイプが生き残るケースが多いようです。ルールなど全く無視ではビジネスマンは務まりませんけど、上司の指示には従いつつ、もうひとつ冷静な、動物的な目のようなもので判断し、時にはそちらを優先する。そんなタイプです」