病院の戦力が低下するのは春と秋が多い

公開日: 更新日:

 開業医は、言ってみれば自営業ですから、新しいクリニックを何月からスタートするかは本人の自由。しかしここにも、クッキリと季節差が見てとれます。クリニックの新規開業は例年、春(4月)と秋(9・10月)がピークになっているのです。

 2010年を例に見てみましょう。この年は、合計で4590件が新規に開業しています。

 ここ数年、毎年5000件前後の新規開業がありますが、一方で院長の高齢化などにより、4000件前後が廃業しています。そのためクリニックの純増は、毎年1000件前後で推移しています。

 さて、10年ですが、2月の開業が最も少なく、276件にとどまりました。

 しかし4月には578件、9月は427件でした。同様に11年には4884件が開業しましたが、4月が553件、9月が607件といった具合です。

 これを病院側から見ると、2~3月と7~8月に辞める医師が多いことを意味します。クリニックを始める医師の大半は、ほぼ全員が病院の勤務医。勤めながら開業を準備し、オープンが近づいてから辞める人が多いのです。しかもその大半が、40代後半から50代のベテラン勢。つまり毎年2~3月と7~8月は、病院の医師の入れ替え時期。

 言い換えれば、経験豊富な医師が抜けて、戦力が一時的に低下する季節なのです。

長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

【連載】健康医療データの読み方

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中丸雄一の密会騒動“体の関係ナシ”で謹慎?アダとなった“旧ジャニーズ随一”お茶の間好感度の高さ

  2. 2

    来年引退決断の柔道ウルフ・アロン「『心残りはある』って言ってしまったんですけど、『やっぱりねえな』と(笑)」

  3. 3

    中日「ポスト立浪」に浮上する“第3の男” 侍J井端弘和監督、井上一樹二軍監督の名前が挙がるが…

  4. 4

    「建築界のノーベル賞」受賞の権威が大阪万博をバッサリ!“350億円リング”「犯罪だと思う」

  5. 5

    寛解直前で数値が上昇…タレントの山本量子さん語るがんとの闘い

  1. 6

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  2. 7

    「海のはじまり」は地に落ちたフジ月9の象徴か…TVコラムニストが薦める意外な視聴者層

  3. 8

    高野連を直撃「甲子園でリクエスト制度なぜ導入されず?」

  4. 9

    大阪万博はうっすらウンコ臭い? “腐った卵”硫化水素が流出も「対策これから」の体たらく

  5. 10

    これも防災対策のひとつ? 「ソーラー充電器」は買っても秘密にしておけ