理想は自然死 飲まず、食わず、悔いず 眠るように

公開日: 更新日:

 いまわの際が近づいてくると、心臓の働きが弱まり、血圧が60以下に下がります。心臓から遠い順に血液が届かなくなり、手足が冷たくなり、肌の色が変わります。しかし、生きていくための最も原始的な脳幹の呼吸中枢は最後まで頑張ります。遂に麻痺して呼吸が乱れます。最期は下顎呼吸を行います。これは下顎がガクッと下がって普段とは違う筋肉を使った補助呼吸です。このときあえぐように見えるため、家族は「苦しいのではないか」と心配されますが、問題ありません。この時点では本人は苦しみを感じる状態ではないのです。

 そのまま息を引き取る人もいますが、突然「ハアーッ」と息を吐き出す動きを見せる方もいます。これは呼吸筋の最後の反射反応にすぎません。

 こうしたことは、親や近親者の死に立ち会っていれば分かることです。人の死を病院任せにして、学ばないから、「苦しそうだから、モルヒネを使ってください」といった発想になるのです。

 私は、いま勤めている特別養護老人ホームで200人以上をみとりましたが、モルヒネを使ったことはありません。皆、眠るようにして亡くなるので、使う必要がないからです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド