胃がん手術 「治る病気になってきた」というが水増しでは
胃がんは年間の新規患者数でトップ。死亡数では肺がんに1位を譲りましたが、いまだに日本人の“国民病”であり続けています。とはいえNDBオープンデータを見ていくと、世間で語られている胃がんのイメージとはだいぶ違った姿が見えてきます。
〈表〉は2014年度の手術数をまとめたものです。胃がんの手術には、「内視鏡」「開腹」「腹腔鏡」の3種類があります。問題は内視鏡です。
内視鏡的手術の対象になるのは「粘膜内がん」「悪性上皮内新生物」などと呼ばれるもの、つまり胃の悪性ポリープです。内視鏡の先から特殊な器具を出して、こそぎ取るように切除することができます。きれいに取ってしまえば、再発や転移の可能性はほとんどゼロ。そのため、がん保険などでは保障の対象外になっていたり、給付金が出るものでもかなり安く抑えられていたりします。「がん」で「悪性」なのに別モノとして扱われているため、常にトラブルの種になっています。
■4割が治りやすい「粘膜内がん」
また、粘膜内がんは放っておくと“本物の”胃がんに成長するとされています。しかしそれも確たる証拠はなく、自然消滅するものも少なからずあるようで、いまだに議論が続いています。