トランス脂肪酸禁止のニューヨークで心臓発作が減少
「トランス脂肪酸」を多く含む油脂は、クッキーやクラッカーなどの加工食品、ファストフードの揚げ物などに使われています。アメリカでは、その量はかつての5分の1程度まで減っていると考えられていますが、さらに2018年までに加工食品への使用が全面禁止される予定です。
一足早く、07年にレストランやファストフード店での全面禁止に踏み切ったニューヨーク市では、他の地域と比べ心臓発作と脳卒中が低いことが分かりました。
調査を行ったのはイエール大学の医学部で、その結果が「JAMA」(米国医師会雑誌)に発表されました。ニューヨーク市と、トランス脂肪酸の使用を禁止していない近隣地区を比べたところ、ニューヨーク市の方が心臓発作が7.8%少なく、脳卒中が3.6%少なかったのです。
ところが、ここで少々混乱が生じています。かつてトランス脂肪酸が多く含まれていたマーガリンは、動物性油脂のバターより健康にいいと考えられていました。しかし、80年代以降健康リスクが発見され、逆に「マーガリンは体に悪い、バターの方がいい」というコンセプトが定着。今もそう思い込んでいる人が多いのです。